ある夕暮れどき。列島を台風がかすめるせいで、風が強い。渋谷からさほど離れていない一流ホテルに部屋をとり、現役タレントがいるデリヘル店に携帯電話をかけてみた。
「赤坂、広尾のモデルプロダクションと契約しておりまして、現役モデル、タレントをプロダクションから直接お客さまのもとに派遣いたします。今夜、ごらんになりますか?」
軽い業界のりした男だ。語尾が伸びるのは、マネージャー業が長いからだろう。
「ほんとうにタレントさんがいるんですか?」
「プライバシーにかかわることなので、詳しいことは申し上げられませんが、タレント活動をしている女の子たちが、そうですね、いまですと30名ほどおりますが、ごらんになりますかあ?」
「お願いします。できればできるだけ有名な子がいいんですが」
「それでは深夜放送に出ている23歳のタレントさん、ごらんになりますかぁ?」
「はい」
「ありがとうございます。料金は90分で10万、12万となっておりますが、どの料金でごらんになりますかぁ?」
「そうですねえ」「当デリヘルは政財界のかたがたにご聶厦にしていただいておりますので、女の子の質はご安心くださぁい」
「政財界ですか」「はい。一部上場企業の経営者のかたがたですとか、閣僚経験のある政治家のかたがたに、ご愛顧ねがっております。それでは23歳のタレントさんをごらんになりますかぁ?」
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